京都嵐山 時雨殿
10月30日の日曜日、京都は嵐山の時雨殿に伺いました。
(渡月橋を渡らず、川沿いに少し上がったところにあります)
時雨殿は、小倉百人一首の殿堂として知られており(恥ずかしながら存じ上げませんでした)、今回は企画展「宝塚歌劇と百人一首」のイベントとして、元宙組トップ娘役の野々すみ花さん(京都出身)のトークショーがあるとのことで初めて訪れました。
(企画展ということで宝塚歌劇の全面協力。入口では、ショーのフィナーレ衣装がお出迎え。下に置いてある説明書きの「ファン…」という字をを見て、てっきりすみ花ちゃんがゲストなので「ファンキー・サンシャイン」の衣装かと思いました。でも、こんなのだったっけ…?と思って見直すと雪組「ファンシー・ガイ」の衣装でした。こんなところで雪組に遭遇、嬉しかったです。そういえば「ナイス・ガイ」という演目あったな…名前が似ていて頭がごっちゃになりました。)
>野々すみ花 とは
>
野々すみ花さんは、現在女優として活躍されており、
・連続テレビ小説「あさが来た」(玉木宏の三味線のお師匠さん)
・「重版出来!」
・「世界ふしぎ発見!」のミステリーハンター(11月12日、ご出演だそうです!)
その他ドラマに舞台にと数多くの作品に出演なさっています。
宝塚ファンでなくても、ご存知の方も多いかもしれません。
ファンなどとはおこがましくて言えませんが、わたしは彼女のお芝居が大好きで、ひっそりこっそりと宝塚時代から動向を見守っています。舞台だけでなく、インタビューなどでのお言葉、ブログなどで拝見する文章がとても美しくやわらかで、ひそかに”野々師匠”と尊敬しております。
野々すみ花さんご登壇
美しく上品な藤色のお着物で登場されたすみ花さん。帯も菊の髪飾りも美しくて見とれてしまいました。普段からお着物を着る役が多いこと、日舞やお茶のお稽古をされているとあって姿勢も美しく、また肌の透明感も相まって「わぁ・・・きれい・・・」とうっとり。凛とした表情でしっかりお話をされているかと思えば、ころころと笑ったり照れたりと、かわいらしい方だなぁと改めて思いました。
(会場の様子)
宝塚歌劇と百人一首について
さて、そんなすみ花ちゃんのトークショー。
時雨殿の館長である吉海直人さんとの対談という形で終始和気あいあいと進められ、すみ花ちゃんの女優としてのお話、楽しく百人一首について学ばせていただきました。
そもそも、宝塚歌劇と百人一首には切っても切れない縁があり、
・宝塚歌劇団(宝塚少女歌劇)の20期生くらいまでの芸名は百人一首から名づけられていた(天津乙女さんなど)
・宝塚歌劇には、過去に百人一首の歌人である在原業平、小野小町、紫式部などを題材にした作品がある
といった内容でした。
野々すみ花さんとの関連
宝塚歌劇だけでなく、すみ花さんの女優としての出演作品「吉原裏同心」にて演じられた薄墨太夫が
「忍ぶれど 色に出でにけり わが恋は ものや思ふと 人の問ふまで」平兼盛
という歌が好きだ、と言って自分の恋心を仄めかすシーンがあったそうです。
そこから「あさが来た」「重版出来」といったドラマで和服姿が多いこと、さらに大変良くお似合いになることなど(吉海館長はこれらのドラマを偶然ご覧になっていたようで、すっかり虜だとおっしゃっていました)、すみ花さんファンにも楽しい話題が続きました。
また、宝塚時代の出演作「大江山花伝」の藤子役にちなんで感動のラストシーンの台詞を生でご披露いただけるとのサプライズに、会場内は大きな拍手。藤子だから、藤のお着物だったのでしょうか。そんなところも素敵。
台本をお持ちだったので、その場で読んでくださるのかと思ってわくわくしていると、
「覚えてるかなぁ~緊張する~!マイクなしでも後ろの方聞こえますか??」
とそわそわ立ち上がるすみ花さん。
「では、館長が茨木童子(主演・大空祐飛さん)で・・・」
と館長に立っていただき、なぜかすたすたとステージから降りて裏へ小走りで出てゆく。皆が驚いていると、なんと走り出てきて、登場シーンから長台詞を丸々演じてくださったのです。
これには全員が驚きで、一瞬小さく歓声が上がったのですが、台詞が始まったとたん会場全体が静まり返り、皆が彼女の演技に引き込まれてゆくのを感じました。本当に、目の前に大空祐飛さん演じる茨木童子が見えました。
文章で書くとなんだか噓のようですが、そのお芝居が終わった瞬間、あれあれと思っている間に涙が頬を伝ってきて自分が泣いているのに気が付きました。こんな体験は初めてで、今でも何だったんだろう・・・とふわふわした気持ちです。それくらい、ほんの数十秒で大江山花伝の世界に引き込まれ、すみ花ちゃんの芝居に圧倒されていたのだと思います。
これは私だけでなく、ふと見まわすと鼻をすする音、涙をぬぐう方・・・あらためてとても素晴らしい体験をさせていただきました。すみ花ちゃん、すごい。
裏話として
「咲くやこの花」という時代劇のときに吉海館長が監修なさった変体仮名のかるたが、「吉原裏同心」「ととねえちゃん」などNHK作品で多数使われているとのこと。かるたは古くから教養の一つであり、ストーリーを進めるうえで重要な役割を担っているシーンが多数あるとのお話は目からうろこで、これからNHK作品を見るときには注目してしまいそうです。
また、吉海館長の
「正直に言うと、子供が百人一首の歌の意味を理解するのは難しい。でも、歌は五七五七七の流れ・音が美しく耳に残りやすい。大人になって、ある時幼いころに覚えた懐かしい歌が頭をよぎる。いろいろな経験を通して成長したとき、初めて意味を理解できるのではないだろうか」
といったことをおっしゃっていたのが印象的です。
美しく豊かな日本語は、たとえその意味を理解できずとも、子供のころに親しむのもよいことだなと思いました。私も、今からでも少しずつ読んでみようかなぁ、と思いました。
すみ花ちゃんと万年筆の・・・
トークショー終了後に館内展示を見おわり、帰ろうとしたとき、なんと出口にすみ花ちゃんがいらしてファンの方とご歓談されていました(宝塚時代から応援されている方々らしく、すみ花ちゃんもリラックスしてお話しされているようでした。皆様とても上品で気さくな雰囲気で、「あぁすみ花ちゃんのファンの方も素敵だなぁ・・・」などと思いました。)。
その中に入るのはさすがに恐れ多く、その場を離れ友人の物販購入を待っていると、お話を終えられたすみ花ちゃんが一般の(おそらく初めてすみ花ちゃんにお会いする)方ともお話、サインをされておりました。折角なので…と、お芝居やブログが好きなことをお伝えしたいなと順番を待っていると、話しかけてくださり、サインまでいただいてしまいました。
(手帳の表紙に…2016年の大切な思い出になりました)
こんな機会があると思っていなかったので、持っていたのはいつもの手帳(能率手帳ゴールド)と万年筆(ピンクスーベレーン)。失礼ながらそれらでサインをお願いしたところ、
「素敵な色(な万年筆)で・・・わたしも黄色もってます♪」と!
(思わず「黄色も持ってます・・・!」とハクハクしながら小さく叫んでしまいました)
万年筆がお好きなのですか…とおずおずと尋ねると、
「好きです」とお答えいただき、
「またいい色(インク)ですね~^^」
そして同じくピンクスーベレーンを渡す友人に
「わぁ万年筆同盟ですか?」
「あ、こちらは少しペン先が太いですね、(同じ太さと答える友人に)あ、筆圧でですか?」
など、さすがすみ花師匠です。万年筆までお好きだなんて(しかもしっかり使ってらっしゃる感じ)。ますます憧れの存在になってしまいました。
”すみ花師匠は、ホワイトトータスをお持ちでいらっしゃる”
文具好きとしては本日一番の収穫であったかもしれません。
(ご存知かもしれませんが、ファンの方に教えて差し上げたい・・・)
わたしも、もっともっと万年筆を使おう。
すみ花ちゃんのように、素直で凛と柔らかく美しい・・・そんな風に少しでも近づきたいな。
さいごに
時雨殿の皆様、そして野々すみ花さま、素敵な一日を過ごさせていただきありがとうございました。本当に、とても貴重なお話を伺えて楽しかったです。
(1人ではきっと勇気が出なかったので、一緒に行ってくれた友人にも感謝です)
今日は時雨殿にて開催された「野々すみ花トークショー」のお話でした。
最後までご覧いただきありがとうございました。
では、ごきげんよう。
そういえば、嵯峨嵐山駅近くにあった古本屋さんが素敵で随分長居してしまいました。そして2冊購入。積読がまたまた増えました。
コメントを残す